カテゴリ: SpringのDB操作 更新日: 2026/04/08

Spring Data JPAメソッド名クエリ完全ガイド!SQL不要のデータ操作

Spring Data JPAの“メソッド名クエリ”を理解する(findBy〇〇 の仕組み)
Spring Data JPAの“メソッド名クエリ”を理解する(findBy〇〇 の仕組み)

新人と先輩の会話形式で理解しよう

新人

「先輩、Javaでデータベースからデータを探すとき、いつも長いSQLを書くのが大変なんです。もっと楽な方法はありませんか?」

先輩

「それならSpring Data JPAの『メソッド名クエリ』がおすすめだよ。なんと、メソッドの名前を決めるだけで、Springが自動的にSQLを作ってくれるんだ。」

新人

「えっ、名前をつけるだけでいいんですか?そんな魔法みたいな仕組み、どうやって動いているんでしょうか。」

先輩

「仕組みを知ると、もっと開発が楽しくなるよ。それでは、基本的な使い方と裏側の仕組みを順番に見ていこう!」

1. Spring Data JPAの「メソッド名クエリ」とは?

 1. Spring Data JPAの「メソッド名クエリ」とは?
1. Spring Data JPAの「メソッド名クエリ」とは?

Javaでデータベース(情報を保管する箱)を操作するとき、通常はSQL(エスキューエル)という専用の言語を書く必要があります。 しかし、Spring Bootという便利な枠組み(フレームワーク)に含まれるSpring Data JPAを使うと、このSQLを書く手間を劇的に減らすことができます。

その目玉機能が「メソッド名クエリ(Query Methods)」です。これは、Javaのインターフェースという設計図の中に、特定のルールに従った名前のメソッドを定義するだけで、データの検索や削除を行うSQLが自動的に生成される仕組みです。

メソッド名クエリを使うメリット

なぜ多くのエンジニアがこの機能を使うのでしょうか?それには、初心者からプロまで嬉しい3つの大きなメリットがあるからです。

  • 1. 開発スピードが圧倒的に上がる: SQLを一行ずつ手書きする必要がないため、タイピングの量も減り、素早く機能を完成させられます。
  • 2. タイポ(打ち間違い)によるバグが減る: SQLを文字列として書くと、実行するまでミスに気づきにくいですが、メソッド名ならJavaの文法チェックが効くため安全です。
  • 3. コードが読みやすくなる: メソッド名そのものが「名前でユーザーを探す」「誕生日の降順で並べる」といった説明になっているため、プログラムの意図が一目で伝わります。

例えば、「名前(name)でユーザーを検索したい」と思ったとき、従来のやり方では下記のようなSQLを意識する必要がありました。

SELECT * FROM users WHERE name = ?;

これがメソッド名クエリなら、findByName というメソッドを書くだけで完了します。非常にシンプルですね。

2. なぜSQLを書かずにDB操作ができるのか?

 2. なぜSQLを書かずにDB操作ができるのか?
2. なぜSQLを書かずにDB操作ができるのか?

「名前を書くだけで動く」と聞くと、少し不思議に感じるかもしれません。ここでは、プログラミング未経験の方でもイメージしやすいように、その裏側の仕掛けを解説します。

キーワードは「動的プロキシ」

Spring Data JPAは、アプリケーションが起動するときに、あなたが作ったインターフェース(メソッド名が書いてある設計図)をじっくり読み取ります。 そこで、「お、このメソッドは findBy で始まっているな。さては名前で検索したいんだな?」と、メソッド名を単語ごとに分解して解析します。

このとき使われる技術が動的プロキシ(Dynamic Proxy)です。「プロキシ」とは「代理人」という意味です。 あなたが「この名前のメソッドを作ってね」と頼むと、Springがあなたの代わりに、そのメソッドの中身(SQLを実行する具体的な処理)を自動で作成して、実行時にこっそり差し込んでくれるのです。

実行の流れを整理しよう

  1. 解析: メソッド名を「動詞(findなど)」「条件(ByNameなど)」に分ける。
  2. 生成: 解析結果をもとに、最適なSQL文(SELECT ... WHERE ...)を組み立てる。
  3. 実行: 組み立てたSQLをデータベースに送り、結果を受け取る。
  4. 変換: データベースから届いたデータを、Javaのクラス(Entity)に詰め替えて返却する。

このように、Springが「翻訳者」兼「代理人」として動いてくれるおかげで、私たちは難しいSQLの文法に悩まされることなく、Javaの言葉だけでデータベースと会話ができるのです。

実際のコード例を見てみよう

まずは、ユーザー情報を表す「User」クラスと、データベース操作を担う「UserRepository」インターフェースの例です。


import jakarta.persistence.Entity;
import jakarta.persistence.GeneratedValue;
import jakarta.persistence.GenerationType;
import jakarta.persistence.Id;

@Entity
public class User {
    @Id
    @GeneratedValue(strategy = GenerationType.IDENTITY)
    private Long id;
    private String name;
    private String email;

    // ゲッター、セッターなどは省略
}

import org.springframework.data.jpa.repository.JpaRepository;
import java.util.List;

public interface UserRepository extends JpaRepository<User, Long> {
    // これだけで「名前で検索するSQL」が自動生成される!
    List<User> findByName(String name);

    // 「メールアドレスで検索するSQL」も名前だけでOK
    User findByEmail(String email);
}

3. 基本的な命名規則:findByから始まる構成要素

3. 基本的な命名規則:findByから始まる構成要素
3. 基本的な命名規則:findByから始まる構成要素

メソッド名クエリを使いこなすには、単語の組み合わせルール(命名規則)を知る必要があります。 基本的には、以下の3つのパーツを組み合わせてパズルのように作ります。

構成要素のテンプレート

パーツ 役割 具体例
導入(Prefix) 何をするかを決める find...By, read...By, count...By, delete...By
条件(Criteria) どの項目で絞り込むか Name, Age, Email, Active
演算子(Operator) どう比較するか And, Or, Between, LessThan, Like

よく使う組み合わせのパターン

いくつかのパターンを覚えておけば、ほとんどの操作が可能です。

  • findByNameAndEmail: 名前「かつ」メールアドレスが一致する人を検索。
  • findByAgeGreaterThan: 指定した年齢「より大きい」人を検索。
  • findByNameLike: 名前の一部に特定の文字が含まれる人を検索(あいまい検索)。
  • countByActiveTrue: 「有効(Active)」フラグが立っているデータの件数を数える。

さらに高度な並べ替えや件数制限

検索するだけでなく、並べ替え(ソート)や、取得する件数を制限することも名前だけで可能です。


import org.springframework.data.jpa.repository.JpaRepository;
import java.util.List;

public interface ProductRepository extends JpaRepository<Product, Long> {
    // 価格が安い順に並べて検索
    List<Product> findByPriceOrderByPriceAsc(Integer price);

    // 特定のカテゴリーの商品を、最新のものから3件だけ取得
    List<Product> findFirst3ByCategoryOrderByCreatedAtDesc(String category);
}

このように、OrderBy(並べ替え)や First(最初から何件)といったキーワードを混ぜることで、複雑な条件もメソッド名だけで表現できるようになります。

ただし、あまりに条件を増やしすぎると、メソッド名が非常に長くなってしまい、かえって読みづらくなることもあります。 目安として、条件が3つ以上重なる場合は、別の方法(@Queryアノテーションなど)を検討するのが、きれいなコードを書くコツです。

用語解説

SQL(エスキューエル)
データベースに「データを取ってきて」「消して」と命令するための専用言語です。
インターフェース
Javaにおける「ルール(設計図)」のこと。中身の具体的な処理は書かず、名前や引数だけを決めます。
Entity(エンティティ)
データベースの1行分のデータに対応するJavaのクラスのことです。
Repository(リポジトリ)
データの保管場所への入り口。これを通してデータの検索や保存を行います。

4. 条件定義をマスターする:And/Or/Betweenなどのキーワード一覧

 4. 条件定義をマスターする:And/Or/Betweenなどのキーワード一覧
4. 条件定義をマスターする:And/Or/Betweenなどのキーワード一覧

Spring Data JPAのメソッド名クエリにおいて、最も強力な機能の一つが「キーワード(Keyword)」による柔軟な条件指定です。 単純な一致検索だけでなく、数値の範囲指定、文字列の部分一致、論理演算(かつ、または)などをメソッド名に組み込むことができます。

ここでは、実務で頻繁に利用されるキーワードを分類して解説します。これらを組み合わせることで、複雑な抽出条件もSQLを書かずに実現できるようになります。

比較演算キーワード

数値や日付の比較を行う際に使用するキーワードです。不等号を用いた条件指定に相当します。

キーワード 意味 SQLのイメージ
Is, Equals 一致(デフォルト) WHERE column = ?
LessThan 未満 WHERE column < ?
LessThanEqual 以下 WHERE column <= ?
GreaterThan より大きい WHERE column > ?
GreaterThanEqual 以上 WHERE column >= ?
Between 範囲内(境界値を含む) WHERE column BETWEEN ? AND ?

文字列操作キーワード

検索機能で欠かせないのが、名前やタイトルの一部で検索する「あいまい検索」です。

キーワード 意味 SQLのイメージ
Like ワイルドカード指定 WHERE column LIKE ?
StartingWith 前方一致 WHERE column LIKE '値%'
EndingWith 後方一致 WHERE column LIKE '%値'
Containing 部分一致 WHERE column LIKE '%値%'
IsNull / IsNotNull Null判定 WHERE column IS NULL

論理演算とコレクション

複数の条件を組み合わせたり、特定のリストに含まれるかどうかを判定したりします。

  • And: 複数の条件をすべて満たすデータを取得します。
  • Or: 複数の条件のいずれかを満たすデータを取得します。
  • In: 引数として渡したリストや配列の中に値が含まれるかを判定します。
  • NotIn: リストに含まれない値を判定します。

複合条件の実装例

実際に、これらのキーワードを組み合わせたリポジトリのコード例を見てみましょう。


import org.springframework.data.jpa.repository.JpaRepository;
import java.time.LocalDateTime;
import java.util.List;

public interface OrderRepository extends JpaRepository<Order, Long> {
// ステータスが「完了」かつ、注文日が指定期間内のデータを取得
List<Order> findByStatusAndOrderDateBetween(String status, LocalDateTime start, LocalDateTime end);

// 商品名に特定のキーワードを含み、かつ価格が一定以下のものを取得
List&lt;Order&gt; findByProductNameContainingAndPriceLessThanEqual(String keyword, Integer maxPrice);

// 指定した複数のユーザーIDのいずれかに該当する注文を検索
List&lt;Order&gt; findByUserIdIn(List&lt;Long&gt; userIds);

// 削除フラグが立っていない、かつ名前が特定文字で始まるデータを取得
List&lt;Order&gt; findByDeleteFlagFalseAndNameStartingWith(String prefix);
}

5. 戻り値の型とエンティティの紐付け(OptionalやListの使い分け)

5. 戻り値の型とエンティティの紐付け(OptionalやListの使い分け)
5. 戻り値の型とエンティティの紐付け(OptionalやListの使い分け)

メソッド名クエリでは、検索条件だけでなく「戻り値の型」を何にするかも非常に重要です。 Spring Data JPAは、定義された戻り値の型を見て、適切に結果をラップして返してくれます。

主要な戻り値の型

単一のエンティティ

Entity型 / Optional<Entity>

主キー検索や、必ず1件、あるいは0件であることが分かっている場合に利用します。 Java8以降では、値が存在しない可能性を考慮して Optional を使うのが一般的です。

複数のエンティティ

List<Entity> / Stream<Entity>

条件に合致するすべてのデータを取得したい場合に利用します。 データが見つからない場合は空のリストが返されるため、Nullチェックの必要がありません。

使い分けの判断基準

戻り値の型を選ぶ際は、そのメソッドが「最大で何件のデータを返す可能性があるか」を基準にします。

  • Optional<User> findByEmail(String email)
    メールアドレスは一意(ユニーク)であるはずなので、1件取得か、存在しないかのどちらかです。 呼び出し側で ifPresentorElseThrow を使って安全に処理できます。
  • List<User> findByLastName(String lastName)
    同じ名字の人は複数いる可能性があるため、List型を使います。0件でもエラーにはならず、空のListが返ります。
  • boolean existsByEmail(String email)
    データそのものは不要で、「存在するかどうか」だけを知りたい場合は boolean 型が最適です。 内部的に COUNTLIMIT 1 が発行されるため、効率的です。

ページングとソート

大量のデータを扱う場合、すべてのリストを一度に取得するとメモリを圧迫します。 その際は、PageSlice を戻り値に指定します。


import org.springframework.data.domain.Page;
import org.springframework.data.domain.Pageable;
import org.springframework.data.domain.Slice;

public interface EmployeeRepository extends JpaRepository<Employee, Long> {
// ページング情報(現在のページ、1ページあたりの件数)を受け取って、結果をPage型で返す
// 全件数や全ページ数などの情報も含まれる
Page<Employee> findByDepartment(String department, Pageable pageable);

// Pageよりも軽量なSlice。全件数は計算せず、次のページがあるかどうかだけを保持する
// モバイルアプリの「もっと見る」ボタンのような機能に適している
Slice&lt;Employee&gt; findByRole(String role, Pageable pageable);
}

6. 実行されるSQLを確認する方法と「Query Creation」の内部挙動

 6. 実行されるSQLを確認する方法と「Query Creation」の内部挙動
6. 実行されるSQLを確認する方法と「Query Creation」の内部挙動

メソッド名クエリは便利ですが、ブラックボックスになりがちです。 「本当に意図した通りのSQLが発行されているのか?」を確認することは、パフォーマンスの最適化やバグ修正において不可欠です。

発行SQLをログに出力する設定

Spring Bootの設定ファイル(application.properties または application.yml)に数行書き加えるだけで、 コンソールに実行されたSQLが表示されるようになります。



実行されたSQLを標準出力に表示する
spring.jpa.show-sql=true

表示されるSQLを読みやすく整形(フォーマット)する
spring.jpa.properties.hibernate.format_sql=true

SQLのパラメータ(?の部分)に何が入ったかを表示する
logging.level.org.hibernate.orm.jdbc.bind=trace

この設定を有効にすると、開発時のデバッグが劇的に楽になります。 例えば、findByAgeGreaterThan を呼び出した際、以下のようなログが出力されます。


Hibernate:
select
u1_0.id,
u1_0.age,
u1_0.email,
u1_0.name
from
users u1_0
where
u1_0.age > ?

Query Creationの内部アルゴリズム

Spring Data JPAがメソッド名をSQLに変換するプロセスはQuery Creationと呼ばれます。 内部的には以下のようなステップで処理されています。

  1. トークン分割: メソッド名から findBy, readBy, getBy などのプレフィックスを削除し、残りの文字列を AndOr で分割します。
  2. プロパティ解析: 分割された各パーツをエンティティのフィールド名と照らし合わせます。もしフィールド名が見つからない場合は、キャメルケースの区切りで再試行します(例:AddressZipCode を Address.ZipCode と解釈するなど)。
  3. キーワード判定: GreaterThanLike などのキーワードが含まれているかを末尾から判定し、比較演算子を決定します。
  4. ツリー構築: 解析した条件を論理ツリー構造に変換し、最終的にJPAのCriteria APIを介してSQLを組み立てます。

注意点:メソッド名が長くなりすぎるとき

Query Creationは非常に便利ですが、限界もあります。 条件が「名前、年齢、住所、職業、登録日」のように増えていくと、メソッド名が findByNameAndAgeAndAddressAndJobAndCreatedAt となり、もはや呪文のようになってしまいます。

このような場合は、無理にメソッド名クエリを使おうとせず、以下の代替手段を検討してください。

  • @Queryアノテーション: 直接JPQLやネイティブSQLを記述する方法です。複雑な結合(JOIN)や集計関数を使う場合に適しています。
  • Specification API: 動的に検索条件を組み立てるための仕組みです。検索画面で「入力された項目だけを条件に追加する」といった処理に向いています。
  • Querydsl: 型安全にクエリを構築できる外部ライブラリです。大規模なプロジェクトでよく採用されます。

メソッド名クエリは、シンプルで直感的な操作において最大の価値を発揮します。 仕組みを正しく理解し、適切な戻り値を選択し、ログで挙動を確認しながら開発を進めることで、JPAの恩恵を最大限に引き出すことができるでしょう。

7. メソッド名クエリで対応できない複雑な条件への対処法(@Queryとの使い分け)

7. メソッド名クエリで対応できない複雑な条件への対処法(@Queryとの使い分け)
7. メソッド名クエリで対応できない複雑な条件への対処法(@Queryとの使い分け)

これまでに学んできたように、メソッド名クエリは非常に強力な機能ですが、万能ではありません。 開発が進むにつれて、単純な条件指定だけでは解決できない壁にぶつかることがあります。 ここでは、メソッド名クエリの限界と、それを補うための @Queryアノテーション の使い分けについて詳しく解説します。

メソッド名クエリが苦手なケース

メソッド名クエリは、エンティティのフィールドを直接参照する単純な検索を得意としています。 しかし、以下のような場合には、メソッド名が長くなりすぎたり、そもそも表現できなかったりします。

  • 1. 多数のテーブルを結合(JOIN)する場合: 関連先のリレーションシップを深く辿る検索は、メソッド名が複雑化し、可読性が著しく低下します。
  • 2. 複雑な集計関数を利用する場合: 合計値、平均値、最大値などを取得しながら、特定のグループでまとめる処理(GROUP BY)はメソッド名では限界があります。
  • 3. サブクエリが必要な場合: クエリの結果を別のクエリの条件に使うような入れ子構造は、メソッド名クエリでは対応できません。
  • 4. データベース固有の関数を使いたい場合: 特定のデータベース製品のみが持つ関数や演算子を利用する場合、標準的なメソッド名ルールでは生成できません。

@Queryアノテーションによる解決

複雑な条件が必要になった際は、JPQL(Java Persistence Query Language) または ネイティブSQL を直接記述できる @Query アノテーションを使用します。 これにより、Javaコードとしての可読性を保ちつつ、データベースの性能を最大限に引き出す柔軟なクエリを発行できます。

実装例:JPQLを使用した複雑な検索

例えば、注文情報(Order)と商品情報(Product)を結合し、特定の価格以上の商品を注文したユーザーを検索する場合のコードです。


import org.springframework.data.jpa.repository.JpaRepository;
import org.springframework.data.jpa.repository.Query;
import org.springframework.data.repository.query.Param;
import java.util.List;

public interface CustomUserRepository extends JpaRepository<User, Long> {
// 複数のテーブルを結合し、特定の条件で検索するJPQLの例
@Query("SELECT DISTINCT u FROM User u " +
"JOIN u.orders o " +
"JOIN o.product p " +
"WHERE p.price > :minPrice AND u.status = 'ACTIVE'")
List<User> findActiveUsersByMinProductPrice(@Param("minPrice") Integer minPrice);

// ネイティブSQL(データベース専用の言語)を直接書く場合の例
@Query(value = "SELECT * FROM users WHERE last_login_date &lt; NOW() - INTERVAL '30 days'", 
       nativeQuery = true)
List&lt;User&gt; findDormantUsers();
}

このように、@Query を使うことで「どのような意図でデータを取得したいか」を明確に表現できます。 基本はメソッド名クエリを検討し、条件が3つ以上重なる場合や、結合操作が必要になったタイミングで @Query に切り替えるのが、美しい設計への第一歩です。


8. 実装時の注意点:パフォーマンス劣化を防ぐためのN+1問題への意識

8. 実装時の注意点:パフォーマンス劣化を防ぐためのN+1問題への意識
8. 実装時の注意点:パフォーマンス劣化を防ぐためのN+1問題への意識

メソッド名クエリは非常に簡単にデータを取得できるため、ついつい使いすぎてしまうことがあります。 しかし、その利便性の裏側に潜んでいるのが N+1問題 です。 これに気づかずに実装を続けると、本番環境でデータ量が増えた際にシステムの動作が極端に遅くなる恐れがあります。

N+1問題とは何か?

N+1問題とは、1回のクエリ(1)で親データを取得した後、その子データを取得するために、親データの件数分(N回)の追加クエリが発行されてしまう現象です。 例えば、100人のユーザー情報を取得し、それぞれのユーザーが持つ注文履歴を表示しようとした場合、合計101回のSQLが発行されます。 これはデータベースにとって非常に大きな負担となります。

EntityGraphによる解決策

メソッド名クエリを使いながらこの問題を解決する最もスマートな方法が @EntityGraph の活用です。 これを使うと、メソッド名クエリの利便性を活かしたまま、関連するデータを一回のSQL(JOIN)でまとめて取得するように指示できます。


import org.springframework.data.jpa.repository.EntityGraph;
import org.springframework.data.jpa.repository.JpaRepository;
import java.util.List;

public interface UserWithOrdersRepository extends JpaRepository<User, Long> {
// ユーザーを検索する際、関連する「orders」も一括で取得(フェッチ)する
@EntityGraph(attributePaths = {"orders"})
List<User> findAllByNameContaining(String name);

// 複数の関連を一度に取得することも可能
@EntityGraph(attributePaths = {"orders", "profile"})
List&lt;User&gt; findByActiveTrue();
}

パフォーマンス向上のためのその他のポイント

N+1問題以外にも、パフォーマンスを保つために意識すべき点がいくつかあります。

  • 必要な項目だけを取得する: 全てのカラムを取得するのではなく、特定の項目だけが必要な場合は「プロジェクション(Projection)」を利用して取得対象を絞り込みます。
  • 適切なインデックス: メソッド名クエリの条件に使用するカラムには、データベース側でインデックスを貼っておく必要があります。インデックスがないと、全件走査(フルスキャン)が発生し、低速になります。
  • 読み取り専用の設定: データの更新が不要な検索処理では、@Transactional(readOnly = true) を指定することで、JPAの変更監視コストを削減できます。

9. Spring Data JPAメソッド名クエリの活用ポイント整理

9. Spring Data JPAメソッド名クエリの活用ポイント整理
9. Spring Data JPAメソッド名クエリの活用ポイント整理

最後に、これまでの内容を振り返り、実務でメソッド名クエリをどのように活用していくべきか、そのエッセンスを整理しましょう。 Spring Data JPAは単なるツールではなく、正しく使いこなすことでアプリケーションの品質を左右する重要なコンポーネントです。

実装の判断基準(フローチャート的考え方)

どの機能を使うべきか迷ったときは、以下の優先順位で検討してください。

  1. 第一選択:メソッド名クエリ
    条件がシンプルで、特定の1テーブルに対する操作がメインの場合。可読性と開発スピードを最優先します。
  2. 第二選択:メソッド名クエリ + @EntityGraph
    関連テーブルのデータも同時に必要で、パフォーマンスが懸念される場合。
  3. 第三選択:@Query (JPQL)
    結合条件が複雑、あるいは集計処理が必要な場合。オブジェクト指向の観点を保ちつつクエリを書きます。
  4. 最終手段:@Query (Native SQL)
    データベース独自の機能を使いたい場合や、JPQLではどうしてもパフォーマンスが出ない場合。

チーム開発での運用ルール

プロジェクトでメソッド名クエリを導入する際は、メンバー間で以下のような約束事を作っておくと、コードのメンテナンス性が向上します。

項目 推奨されるルール
メソッド名の長さ 条件が3つを超える場合は @Query の使用を検討する。
存在確認 件数を数えて判定するのではなく、existsBy... を積極的に活用する。
命名の統一感 find...By 以外にも count...Bydelete...By を一貫して使用する。
コメント メソッド名だけで意図が伝わりにくい複雑な名前になった場合は、JavaDocで補足する。

最後に

Spring Data JPAのメソッド名クエリは、開発者から退屈なSQLの記述を解放し、ビジネスロジックの本質的な部分に集中させてくれる素晴らしい機能です。 しかし、その魔法のような仕組みの裏側には、厳密な命名規則やデータベースの動作原理が隠されています。

本ガイドで学んだキーワードの組み合わせやパフォーマンスへの配慮を意識すれば、あなたはもう立派なJPA使いです。 まずは小さなプロジェクトから積極的にメソッド名クエリを取り入れ、型安全で保守性の高いコードを書く楽しさを体感してみてください。 エラーが出たときはログを確認し、Springが生成したSQLを眺める習慣をつけることで、より深い理解へと繋がっていくはずです。

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